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エッセイ

私の愛しの世田谷線

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 三軒茶屋から下高井戸まで、世田谷の住宅街を駆け抜ける電車がある。東急世田谷線という、都心にあるのが驚きの、とてもローカルチックな電車である。民家の間、本当に軒先を走るので、線路沿いの家に住んでいる人に挨拶ができそうなくらい。中央線は飛び込みが多いが、のろのろ走る世田谷線には間違っても飛び込む人はいない。
 そんな世田谷線だが、経堂に引っ越してからは駅がそれなりに近いということもあり、三軒茶屋に行くときはいつもこの電車を使うようになった。
 三軒茶屋から下高井戸までは全部で10駅しかなく、一駅ごとの所要時間は1分~3分と短い。徒歩でも5分程度の距離。そんな狭いエリアを走る電車なので、車内で本を読もうと思っても、終点までわずか15分の道のりである。あまりのんびりはできない。
 料金設定は、一駅だけ乗っても終点まで乗っても130円均一。「切符」というものは回数券や定期券以外では存在せず、バスと同じような感覚で、乗車したら 130円を運賃投入口に放り入れる。運転手さんに直接手渡しても問題ない。世田谷線は改札口も何もない駅がほとんどなので、勝手に乗って勝手に降りるとい う感じ。
 こんな田舎っぽい路線なのだが、実は意外にもハイテクが導入されている。回数券や定期券の場合、「せたまる」というカードを購入できるのだが、 これがJRの「suica」と同じようなシステム。専用の読取機が乗車口に設置してあり、そこにせたまるカードを「サッ」とかざせば「ピッ」と反応してお しまい。
 「suica」との違いは、「せたまる」だけに、「ポイントが溜まる」という点だ。休日は4ポイント、平日の昼間は2ポイント、それ以 外は1ポイント、使用するごとに加算され、次回チャージ時に10ポイントにつき130円分あわせてチャージされる。休日に使わない手はない。それにして も、電車に乗ってポイントが溜まるなんてシステム、日本中探してもあまり例を見ないと思うのだが。
 沿線には有名な飲食店も多く、芸能人も時々訪れるという上町(かみまち)駅前のベトナム料理の店「サイゴン」に、先日行ってみたのだが、安くて ボリューム満点で、メニューは香辛料たっぷりのものが多く、体が温まって良い感じだった。窓際の席に座ることができたので、目の前を走る(本当に目の前を走るのである!)世田谷線を見ながら食事をしていた。電車に乗る人々と目が合うほどの距離である。いつも電車の中からこの店を見ていただけに、良い席に座れて嬉し かった。
 そういえば、以前住んでいたアパートに決める時、不動産屋に若林の物件を勧められた。結局違う場所に住んだので「若林ってどこだったんだろう?」って思っていたけれど、それが世田谷線の駅だったということに気付いたのは、ずっと後になってからのお話でした。
 という訳で、なるべく休日には「せたまる」を使って、世田谷線の駅を制覇してみたい。私の愛しの世田谷線。カメラをバッグに詰め込んで。